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2008年7月23日 (水)

考古学のこと

最近読んだのは講談社の日本の歴史シリーズで00巻「日本とは何か」網野善彦著、02巻「王権の誕生」寺沢薫著、03巻「王権から天皇へ」熊谷公男著の3巻である。

これまで記紀神話をめぐってああだこうだ、とか邪馬台国がどこだとか、論者の数だけ説があるが、最新の考古学の成果を取り入れているのがよい。

考古学は炭素年代測定法で大幅に進歩した。炭素原子は自然界に同位体がいくつかあってC14がわずかに含まれ、これは長い年月をかけてβ崩壊し、窒素に変わっていく。この割合を調べるといつごろのものか±100年ぐらいの精度でわかるというものだ。ただし一定量のサンプルがないと測定できないのが欠点だったが、粒子加速法という技術が開発され、きわめてわずかのサンプルでも測定できるようになった。

これは逆に外乱としての異物まで測定してしまうので、サンプルのとり方に細心の注意が必要だという。だから発掘の際に、このあたりの知識がないと、無意味な発掘になってしまうので、考古学者としても物理学の知識が要求されるというわけ。

年輪年代測定法もある。木の年輪はその粗密パターンがその時代の気候変動を受けているのでパターンをデータベースと照合することで年代が確定できる。ある建造物の年代が古すぎる場合、前代の建築物から移築再利用されたということがわかるようになった。バーコード読み取りに似ていますね。

それに生物関連ならDNA鑑定だ。この骨は誰の親族なのかで埋葬された人物の特定が出来るようになり古代史は大幅に書き換えられつつある。

その最新の成果が盛り込まれている歴史関連の本なのだ。古代のことを知りたい人はできるだけ最新の考古学知見を取り入れた本を選ばないとロマンチックに傾いてしまうので要注意。

こうして埋蔵物についての判断が保留されているものが、新たな技法で特定されると、他のものまで関連してわかってくる。ジグソーパズルでおぼろげに輪郭がわかるといっせいにはめ込むパーツがわかってくるというあの感覚です。

現代はそういう時代ですから、推理作家や文学者がドラマチックに描いた歴史とは異なるが、冷徹に歴史の真実を顕にしてくれるのは醍醐味です。

特に日本では自治体の教育委員会という組織が、地元をこつこつ発掘してはデータを溜め込んできたのがこの成果を生んでいると思われます。

それとも日本列島改造ブームとか土建屋国家などと揶揄されながら地面を掘り返してきたのが幸いしているのか。

わがまちおよび周辺の市町村の教育委員会も非常にいい仕事をしているのでこれを一堂に会して歴史資料館を造れないものか、市長に聞いたら「痛いところを衝かれた」と言ってはいたが、どうかな。橋や道路や病院の話題しか選挙で票にならないだろうしねえ。

こうして見ると残念なのは天皇稜の発掘調査が宮内省の拒絶で進んでいないことだ。

皇国史観のときならいざ知らず、いまだ神話の世界観で学術調査を拒むのはどうかと思う。

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コメント

ふと疑問に思ったのですが、正倉院では防水・防腐処理はどうしているのでしょう。たとえば柿渋などがありますね。いくら校倉造とはいえ、白木のままではダメな気がします。

正倉院の塗装については考えたことも無かったが、どうなんでしょうね。腐れに強いヒノキを使うなど流行ってると思うが、塗装という発想があっただろうか?むしろ徹底的な水分忌避の技術を盛り込んであのような構造になったのではないかと思うが、、、。

ゴメン、変換ミスをやってしまった。
「使うなど流行っている」、じゃなくて、
「使うなどは、やっている」のつもりだった。

ん?このままでもいいか。

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